経審の審査基準改正、加点対象が変更に
公共工事入札に必要となる経審(経営事項審査)の受審ですが、キャリアアップシステムを活用して経審加点になるのをご存じでしょうか。
公共工事の入札というと、ゼネコンなどの規模の大きな会社を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、県や市が発注する工事には、そこまで大きい金額でないものもあります。新しい仕事を探している業者さんは県や市のホームページで確認してみてください。
経審を受審したあとは、入札したい自治体の名簿に登載して、入札審査参加資格がもらえるように手続きをする流れになります。
点数が高い業者が工事を受注できるので、公共工事の受注がメインの工事会社は、どうやって点数を稼ぐか研究しています!
具体的な加点対象と、手続き方法について詳細を解説!
今回の記事では、キャリアアップ登録(正確には、キャリアアップへの登録+レベル判定審査)で加点対象になる経審の内容と、レベル判定(能力評価基準)の手続き方法について詳しく説明します。
そもそも、経審では何に対して点数がつけられているのか?それは…
- 経営規模(完工高や、自己資本)
- 経営能力(健全な財務状況か?)
- 技術力
- その他(防災活動への貢献、研究開発の状況、建設機械の保有状況、若者の育成など)
となっています。
会社の状況を客観的に数値にすることで、公正性を図る狙いがあります。
※そもそも、レベル判定ってなに?という方はこちらをご覧ください。
レベル判定(能力評価基準)
現在は、システムが再検討されて新規受付がされていませんのでご注意ください。
レベル判定の利用で得点アップ可能な訳
上記のうち、キャリアアップに関連した審査基準に変更があったのは「技術力」の部分と、「その他」の審査項目です。
これまでの経審では、技術職員数として、登録基幹技能者には3点、技能士1級には2点付与されていましたが、今回から後述のように「レベル4」「レベル3」の技術職員数に応じて3点、2点が付与されるようになりました。
キャリアアップが経審加点になる背景とは?
キャリアアップが経審の加点対象になったのは、国交省が先頭に立ってキャリアアップシステムを推進しているものの、当初の目標より登録数が伸びていないことが背景に挙げられます。
そもそも、システム導入の目的には「団塊世代の一斉退職」「技能者の高齢化」「若い人の建設業界離れ(人材不足)」の打開がありました。
キャリアアップシステムを利用して技術力を「見える化」することにより、若い技術者や職人を建設業界へ定着させたい意図がありますので、経審加点対象にすることで若者の育成を促進する狙いです。
今まで見えにくかったキャリア(現場経験)が、「見える化」することで、適正な賃金や待遇につながる、という狙いなわけです。
経審の加点ポイント3つ!
ここで、具体的に経審で加点対象になるポイントを3つ説明します。
①レベル判定4の技能者
能力評価基準(レベル判定基準)によりレベル4と判定された技術者は、経審で「登録基幹技能者」と同様の3点が付与されます。
レベル4は、建設マスター、現代の名工、安全優良職長厚生労働大臣顕彰受賞者などの技能者が該当します。
ちなみに、経審において、技術職員区分の中で最高の6点が付与されるのは「国家資格1級+監理技術者資格証」を保有している技術者です。
レベル判定でご自分がどのレベルに該当するかは、職種ごとによってことなります。詳しくは35職種の能力評価基準をご覧ください。 (国交省のHP)
②レベル判定3の技能者
能力評価基準(レベル判定基準)によりレベル3と判定された技術者は、「技能士1級」と同様の2点が付与されます。
③技能者がレベル2以上にランクアップ
また、若い労働者の技能力アップのため、過去3年以内にレベル判定でレベル2以上にアップした技能者の雇用状況割合も評価されて加点されます。
たとえば職種の中の「とび」では
〇就業履歴が3年(645日)以上
〇玉掛技能講習
〇足場の組立等作業主任者
の条件を満たすと、レベル2が取得できます。
おまけ CDPプログラム受講
技術者はCDPプログラムを受講して取得した単位数に対して加点されます。
CDPプログラムとは、技術者が受講する研修会や勉強会のようなものです。
資格を取得しても、勉強を続けないと知識が古くなってしまうので、新しい知識を常に仕入れるため、受講すると単位が与えられる仕組みです。
上記のように、キャリアアップシステムに登録、レベル判定を利用すると、経審で加点になる場合があるということです。
会社の点数を伸ばしたい場合は、利用したほうがよさそうです。
システム動向に注意!
キャリアアップシステムへの登録が完了したら、レベル判定も受けるようにしましょう。
ただし、残念なことに現在はシステム見直し中です。これまでは、キャリアアップシステムに登録して、更にレベル判定も受けるという2重のシステムだったので、大変不便だったことが原因かもしれません。
今後レベル判定の仕組み自体がどうなっていくか未定のため、新しい情報をチェックすることが必要です。
とは言っても、ご自分の会社の職員がどのレベルに該当するか、セルフチェックすることは可能ですので、今後の見通しのためにやってみてはいかがでしょうか。
レベルアップのシステムを利用して、従業員のやる気を継続させることもできるかもしれません。
目指せゴールドカードですね。