相続を行う際の必要書類とは?

相続手続きを行うためには様々な書類が必要になりますが、今回は相続にあたり収集が必要になる戸籍等がどんなものかをご説明いたします。

目次

相続人を特定するために収集が必要な戸籍はなにか

相続手続きにあたっては、必ず「相続人の特定」が必要です。
相続人の特定をしないと、結果として相続登記や金融資産の払い戻しができないことになります。

相続人の特定に必要な戸籍等には、以下のものがあります。

  1. 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
  2. 法定相続人全員の戸籍謄本

ひとつずつ、順番に説明していきます。

1 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」には、戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本が該当します。これは、改製やコンピュータ化があったためですが、改製された時期により、その前の字光が記載されていないことがあり、改製前の戸籍(改製原戸籍)が必要になる場合があります。

戸籍謄本を不足なく取得すると、被相続人にかかわる身分事項がすべて把握できます。

たとえば、

  • いつ誰と誰の間に生まれた子であるか
  • 兄弟の構成
  • 誰といつ結婚したか
  • 子供は何人いるか
  • いつ亡くなったか

もし、被相続人に婚外子(結婚していない男女の間に生まれた子)や養子がいる場合でも、戸籍謄本を読み込むとその存在が分かります。

2 法定相続人全員の戸籍謄本

「相続人全員の戸籍謄本」は、現在のものを取得します。これは、相続人が現在も生存していることを確認するためです。被相続人の戸籍謄本のように、出生時までさかのぼって取り寄せる必要はありません。
親子である場合などで、被相続人の戸籍謄本に相続人も記載されてる場合は、不要な場合があります。

戸籍謄本の取得方法

戸籍謄本は、以前は本籍地の市区町村役場に請求する必要がありましたが、令和6年3月から、本籍地以外の役場でも取得できるようになりました。ただし、全ての戸籍が近くの役場で揃うわけではなく、コンピュータ化される前の戸籍謄本などは本籍地のある市区町村に出向くか、郵送請求となります。

戸籍の種類、取得方法広域交付〇×備考
戸籍謄本
(全部事項証明書)
除籍謄本
(全部事項証明書)
コンピュータ化されているもの
改製原戸籍謄本コンピュータ化されているもの
郵送請求×広域交付は窓口のみ
兄弟姉妹の戸籍を取得×父母の戸籍から除籍した兄弟の戸籍謄本は取得×
配偶者と直系尊属、卑属は〇(父母、祖父母、子など)
代理人による取得×

郵送請求を利用する場合は、本籍地のある役所のホームページで、送付先や申請書フォーマットを確認しましょう。

法定相続情報一覧図とは

法務局で作成できる、「法定相続情報一覧図」をご存知でしょうか。

相続手続きでは、相続登記、銀行の手続き、自動車の相続手続きなど、届出先ごとに戸籍謄本を提出する必要があります。
しかし、手続きに必要な戸籍謄本は、枚数がとても多くなってしまうことや、届出先で読み取る側の負担にもなっていたため、「法定相続情報一覧図の写し」を利用できるようになりました。

法定相続情報一覧図は、被相続人の相続関係を図で表したものです。法務局で認証を受けた一覧図の写しは、相続登記や預金の払い戻し、相続税の申告などで利用することができます。

法定相続一覧図の作成に必要な書類

「法定相続情報一覧図」を作成するには、自分で一覧図を作成して、以下の書類と一緒に法務局に提出します。
一覧図を入力するひな形は、法務局のホームページに掲載してありますので、ご自身でダウンロードして作成するようになります。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  • 被相続人の住民票の除票(取得できない場合は戸籍の附票)
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本(または抄本)
  • 一覧図作成申出人の住所や氏名が確認できるもの(住民票の写し、運転免許証・マイナンバーカードなど)

法定相続情報一覧図を作成するメリット

メリット1 相続手続きを同時進行できて時間短縮

法定相続情報一覧図の写しは一度に何通でも取得できるので、複数の相続手続きを並行して進めることができます。これにより、相続手続きにかかる時間を短縮することが可能です。

相続手続きではこれまで、手続きごとに原本の提出が必要であるがゆえに、一つの手続きで戸籍謄本を提出し、その手続きが終わったら原本還付を受けて次の手続きを行う、というやり方で進めなければならないことがありました。

例えば、不動産の相続登記が終わったら預金の払い戻し、その後自動車の名義変更、年金手続き、相続税申告…と、一つ一つ時間がかかるイメージです。

法定相続情報一覧図を提出すると、戸籍等の原本提出が不要となりますので、同時進行が可能となり時間短縮できます。

書類の取得費用が軽減できる

法定相続情報一覧図の作成と交付には手数料がかからないうえに、保管期間内であれば再交付も可能です。保管期間は5年間となっています。

一般的に戸籍謄本の有効期間は3か月や6か月となっていますので、戸籍謄本の有効期間が切れてしまい再取得になった場合と比較すると、その分費用が軽減できます。

不動産相続登記の必要書類

被相続人が不動産の所有者だった場合、相続登記をする必要があります。相続登記の必要書類には、どんなものがあるのでしょうか。

  • 亡くなった方の戸籍謄本等(法定相続情報一覧図で代用可能)
  • 法定相続人全員の戸籍謄本(法定相続情報一覧図で代用可能)
  • 住民票の除票または戸籍の附表の除票
  • 遺産分割協議書 相続人全員の署名押印・相続人全員の印鑑証明書 
  • 不動産を取得するかたの住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 司法書士に委任する場合は、委任状など

今回の記事のまとめ

相続手続きをする場合に、必要となる書類についてまとめました。(金融機関の手続きに関しては、手続先が民間になり一律ではないため今回は記載していません。)

特に、戸籍の収集は、兄弟が多い場合や、何度も本籍地を変更している場合など、追いかけるのが大変なケースがよくあります。ご自分で行うのが難しい場合は、専門家に依頼することもご検討ください。

With.行政書士法人では、司法書士や税理士と連携しながら、戸籍の収集から手続き完了までをお手伝いしています。
自動車の手続きも得意ですので、相続財産の中に自動車がある場合はご相談ください。


合わせて、不動産の取扱いもしておりますので、相続した不動産を売却したい場合もお任せください。
(不動産は、株式会社with.にて取り扱っております。)

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