「トラックやハイエースなどのバンを使って、運送業を始めたい」
「取引先などから代金を頂いてトラックなどで荷物を運びたい」
上記のような場合には、運送業許可(一般貨物自動車運送事業許可)を取得する必要があります。
しかし、運送業許可の取得は、「取得要件が多く複雑」「取得までに時間がかかる」「事前に多額の自己資金を用意しておく必要がある」などの理由から、自力で取得するのはなかなか難しいのが現状です。
開業に向けて急ぐあまり、運送業許可の難しさを理解せずに闇雲に準備を進めてしまうと、取得した物件を契約し直したり、申請を始めからやり直す必要があり、多くの時間とコストを失ってしまうことになります。
この記事では、運送業許可の申請実績が豊富なWith.行政書士法人が、運送業許可の取得が難しいと言われている理由や、実情を解説していきます。
「申請にあたって注意すべき要件」「取得までに必要な資金と内訳」なども合わせて解説していますので、これから運送業の開業を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
運送業許可の取得は難しい?理由は3つ
前提として、新たに運送業を始める場合には、国土交通省から「運送業許可」と呼ばれる許認可を受ける必要があります。
運送業許可とは?
貨物自動車運送事業法という法律で定められている、「一般貨物自動車運送事業」「特定貨物自動車運送事業」を総称したものです。広義的に、「貨物軽自動車運送事業」を含めて呼ばれることもあります。
わかりやすく説明すると、「代金(またはそれに相当するもの)を頂いて、トラックなどで荷物を運ぶ場合」は運送業許可を取得をする必要があります。
運送業許可は、事業の健全な労働環境・運行体制を実現し、安全な運送業務を確立するために交付されるものであるため、「立地」「車両」「人材」「資金」などさまざまな観点で、許可の要件が厳しく定められています。
また、運送業許可を取得するにはあらかじめ多額の自己資金を用意しておく必要があるほか、取得までに約半年程度の時間がかかります。
取得するまでのハードルが非常に高く、長い道のりとなるのが実情です。
運送業許可の取得には、必要な手続きや書類の収集だけでなく、自治体や行政と連携して関係する法令の確認なども並行する必要があります。
「結局自力では難しくて行政書士へ依頼した」「自力で申請を進めていたがやり直しになった」というケースも多く、運送業許可を申請する際には、まずは行政書士に相談するのが理想的です。
弊社は、東北地方では数少ない運送業許可の申請実績が豊富な行政書士法人です。これまでの申請実績を基に、運送業許可が難しいと言われている理由や、見落としがちなポイントをそれぞれ詳しく解説していきます。
【①】特に注意!運送業許可の取得要件が複雑
運送業許可を取得するにあたりもっとも重要で難しいと言われているのが、「取得要件をクリアすること」です。
- 営業所・休憩施設に関する要件
- 車庫に関する要件
- 車両に関する要件
- 人材に関する要件
- 資金に関する要件
取得要件ではさまざまな観点で要件が厳しく定められており、すべてを確実に満たしている必要があります。
それぞれの要件には「都市計画法」「建築基準法」「道路交通法」「農地法」「消防法」などの法令が関係しているため、要件ごとに、あらゆる法令に抵触していないかを確認しながら慎重に進めていく必要があります。
ここでは、要件の中でも特に「自力での確認が難しい」「失敗しがち」なポイントを紹介していきます。
なお、ここで紹介するのは数ある細かい要件の中でも、特に重要なポイントになります。取得要件については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.営業所の条件
営業所については、健全で無理のない快適な労働環境を実現するために、「立地」「広さ」「契約期間」などに関する規定があります。
これらの細かい規定を満たさないと営業所として認可されないため、営業所を選定する際には必ず自治体や行政と連携しながら、調査と手続きを進めることが求められます。
営業所の新設などについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
営業所の「立地」
営業所をさがす時は、その地域が「建物や施設が無計画に乱立しないように行政が調整」していないかを確認する必要があります。
具体的に解説すると、都市計画法で以下の区域に指定されている地域では、原則営業所を設立できません。
・市街化調整区域
・第一種、第二種低層住居専用地域
・第一種、第二種中高層住居専用地域
これらの区域は自治体によって細かく定められており、一見地図を見ただけでは判断ができないため、必ず自治体の専門部署と確認をする必要があります。
個人では確認に労力と時間がかかり苦戦しやすいポイントになります。
営業所の「休憩・睡眠施設」
快適な労働環境を提供するためにも、営業所内には、デスクや椅子、ラックやFAXなどの必要設備を設置できるだけの十分なスペースを確保する必要があります。
なお、施設要件に「休憩・睡眠施設」の設置がありますが、原則「営業所」か「車庫」に併設することが求められます。睡眠を与える必要がある運行がなければ、「休憩施設」のみでも構いません。
休憩施設内で睡眠ができる空間を用意する場合は、快適に休息をとれるよう、1人あたり2.5平方メートル以上の空間を確保することが求められています。
営業所を選定する際は、実運用をイメージしながら、事業規模に合わせた適切な不動産を選定しましょう。
営業所の「契約期間」
見落としがちなのが、営業所の「契約期間」です。
営業所の契約期間は、許可日を起点に2年以上有効である必要があります。
この契約期間はあくまで「許可日」起点で確定されるため、仮に申請から許可までに約6ヶ月かかると想定した場合、申請時には2年+6ヶ月以上の契約期間が必要となるので注意が必要です。
2.車庫の条件
要件の中でも特に細かく確認が必要なのが、「車庫」です。
車庫については、「前面の道路幅」「地目」「営業所と車庫の位置関係」や「収容面積」などに細かく規定が設けられています。
車庫を確保する際は、
- 営業所と車庫を併設するか
- 営業所と併設しない場合は、営業所からの距離が離れすぎていないか
- 周囲の道路幅や交通状況は問題ないか
- 車庫として利用できる土地か
- 収容面積は十分か
- 営業所と併設しない場合は、営業所からの距離が離れすぎていないか
(※東北運輸局管内での審査の場合、直線距離でおおむね5km以内であること)
などを考慮して立地を検討する必要があります。
特に、「道路幅」「土地」については、細かく決まりがあるので注意が必要です。
車庫前面の「道路幅」
車庫の立地を選定する際には、トラックが車庫周辺を安全に通行できるよう、車庫の前面に面している道路の幅が、車両制限令で定められた道路幅以上である必要があります。
車庫前面の道路幅が県道・公道である場合の標準的な道路幅の規定は以下の通りです。
一方通行の場合 | 2.5m〜3.0m |
相互通行の場合 | 5.0m〜6.0m |
車庫前面の道路が国道である場合には特に手続きは必要ありませんが、県道・公道の場合には、自治体から「道路幅員証明書」と呼ばれる証明書を取得し、申請時に必要書類と併せて添付する必要があるので注意が必要です。
道路幅に関する規定はあくまで目安となり、
- 公道か私道か
- 区域は市街化調整区域かどうか
- 日中の交通量が多いかどうか
などの条件に応じて細かく変わります。
車庫の立地を決める際には「車両制限令」などの法令や自治体の専門部署との確認をし、証明書類などを別途手配する必要があるため、個人だけでの確認・手配が難しいのが実情です。
車庫の「地目」
車庫を決定するうえで失敗しがちなのが、車庫の「地目」です。
地目とは、その土地の用途に関する区分のことで、必ずどの土地も「宅地」「山林」などの地目で分類されています。
車庫の立地を選定する際、その土地の登記簿謄本上で、地目が「田」「畑」と記載されている場合は、農地法の制限により車庫として使用できないため、地目変更を行い「雑種地」「宅地」などに変更する必要があります。
実際の用途と土地の登記簿謄本上での地目は必ずしも一致していない場合があります。周囲環境から判断して進めるのはリスクがあるため、必ず事前に確認するようにしましょう。
後から農地変更を行う際には別途申請や許可が必要になるため、できるだけ最初から地目を確認して立地を選定するのが理想的です。
【②】多額の自己資金を用意する必要がある
運送業許可の取得要件の1つに「資金計画」の要件があり、あらかじめ資金計画を算出・立案し、それ以上の自己資金を保有している必要があります。
資金は運送業許可申請時や、役員法令試験後などに残高証明書を発行し提示する必要があるため、必要な資金は事前に調達し口座に預金しておく必要があります。
資金計画を立てる上で検討しておくべき資金と内訳は、以下の通りです。
項目 | 内容 | 必要な期間 |
---|---|---|
人件費 | 給与・手当・役員報酬・各種保険料など | 6ヶ月分 |
不動産費 | 物件取得価格全額または賃料など | 12ヶ月分 |
車両費 | 車両購入費全額またはリース料など | 12ヶ月分 |
燃料費 | 自動車全車分の燃料費など | 6ヶ月分 |
メンテナンス費 | 車両のメンテナンス費用など | 6ヶ月分 |
保険料 | 自賠責保険および任意保険など | 12ヶ月分 |
登録免許税 | 運送業許可取得時に納付する税金 | ¥120,000 |
各種税金 | 自動車税および自動車重量税など | 12ヶ月分 |
各種経費 | 光熱費、通信費、広告費など | 6ヶ月分 |
上記の通り、項目により6ヶ月分または12ヶ月分の資金を事前に調達しておく必要があり、初期費用として約1500万〜2000万円程度は必要となります。
運送業許可申請時にはこれらの資金の保有の証明と、算出根拠を示す必要がありますので、事前に「事業でどのくらいの資金が必要になるのか」を見積もり、綿密に計画しておく必要があります。
自己資金の調達方法などは、行政書士でも相談に乗ってくれるケースがあります。With.行政書士法人では、運送業許可取得における融資の知見などもございます。以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【③】運送業許可を取得するまで時間がかかる
運送業許可の取得には、申請書提出〜許可証の交付まで最短でも約3ヶ月〜4ヶ月ほどかかります。
申請に不備があった場合や、申請の混雑状況次第ではさらに期間が伸びる可能性があるほか、事前に要件を満たす「営業所」「車庫」「車両」「人材」などの確保を進めておく必要があるため、ゼロから準備をする場合は、トータルで約6ヶ月前後の期間が必要になります。
開業までにかかる時間を少しでも減らすには、運送業許可の取得に向けてスムーズに申請準備を進めていくことが最大のポイントです。
取得要件の確認や必要となる各種書類の手配・準備を自力で進める場合、膨大な時間と労力、コストがかかるため、運送業許可の取得は行政書士へ相談するのが理想的です。
運送業許可の取得に関するご相談は、実績豊富なWith.行政書士法人へ
運送業許可の取得が難しいと言われる3つの理由
1.取得要件が複雑(考慮すべき点が多い)
2.多額の自己資金を用意しておく必要がある(約1500万円〜)
3.申請から許可までに時間がかかる(約6ヶ月)
この記事では、運送業許可の取得が難しいと言われている理由や実情を解説しました。
運送業許可は自力での取得も可能ですが、「取得要件が複雑」「あらかじめ多額の自己資金を用意しておく必要がある」「取得までに時間がかかる」などの理由から、自力で取得するのはなかなか難しいのが現状です。
極めて難易度が高く、専門性の高い許認可ですが、弊社では東北地方を中心に運送業許可の申請実績が豊富です。
- 運送業許可の取得要件が複雑で、ちゃんと事業を始められるか不安…
- 申請に必要な書類が多すぎて不備がないか心配…
- 役員法令試験に合格できるか不安…
- 自己資金の調達について相談したい…
行政書士へ委託することで生まれたリソースは、事業計画やリサーチ、開業準備などの時間確保へ活かすことができるため、開業準備の効率化の面でもメリットがあります。
運送業許可の取得に少しでも不安や悩みを感じる方は、お気軽にご相談ください。要件クリアに向けた各種サポートはもちろん、役員法令試験や許可取得後まで手厚く対応いたします。
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