「個人(個人事業主)で運送事業を始めたい」
「運送業許可って個人でも取得できるの…?」
「個人で営業ナンバーは取得できる?」
他人(荷主)の需要に応じて、有償で荷物を運ぶ運送事業を行う場合、必ず定められた要件を満たした上で、管轄する運輸支局へ届出または許認可を受ける必要があります(事業の業態により異なります)。
結論として、個人事業主でも運送業許可を取得することが可能です。
ただし、取得要件のハードルが高いため、個人(個人事業主)で開業するのは難しい側面も…
この記事では、運送業に関する実績が豊富なWith.行政書士法人が、個人での運送業許可取得について、基本やポイント・注意点をわかりやすく解説していきます。
「どんな事業に運送業許可が必要なのか」「個人事業主として取得する場合のポイント」なども丁寧に解説していますので、これから個人で運送事業の開業を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
【基本】運送業許可とは?個人でも取得できる?

「そもそも運送業許可ってなに?」という方のために、ざっくり運送事業について解説していきます。
運送業許可とは
運送業許可とは?
そもそも運送事業とは、他人(荷主)の需要に応じて、有償で自動車やバイクなどを使用して荷物を運送する事業のことです。
分かりやすく説明すると、「荷主から代金(またはそれに相当するもの)を頂いて、荷物を運ぶ」という事業です。
このような運送を事業として行う場合は、管轄する運輸支局へ届出または許認可を受ける必要があり、これを「運送業許可」と呼んでいます。
なお、運送事業とは「他人の荷物を有償で運ぶ事業」を指すため、例えば
- 自社の商品や機材などの荷物を拠点間で運ぶ場合
- 無料で荷物を運ぶ場合
などは該当しません。
運送事業自体は、近年Amazonや楽天市場をはじめとするEC事業の普及・拡大や、コロナ禍での巣ごもり需要の増加などに伴い荷物の宅配需要が増えていることから、今後も需要や将来性が見込まれる事業であるといえます。
運送事業の種類

ひとえに「運送事業」と言っても、貨物運送における運送事業にはいくつかの種類があり、取引先の数や使用する自動車の大きさ、実運送の有無などで取得すべき運送業許可の種類が異なります。
自社のもの/他社のものを問わず有償で荷物を運ぶ場合には、「運送業許可」を取得する必要がありますので、事業として荷物を運ぶ場合には以下のどれに該当するかを確認し、必ず許認可を受けましょう。
貨物運送における運送事業の種類は以下の通りです。
【一般貨物自動車運送事業】
不特定多数の荷主の需要に応じて、有償で荷物を運ぶ事業を指します。
一般的に「運送事業」と聞いてイメージしやすい、緑ナンバーの大きなトラックで荷物を運ぶ事業を指します。
【特定貨物自動車運送事業】
特定(1社)の荷主の需要に応じて、有償で荷物を運ぶ事業を指します。
緑ナンバーの大きなトラックで荷物を運ぶものの、取引先が1社のみに限定される場合にはこちらの事業に分類されます。
【貨物軽自動車運送事業】
不特定多数の荷主の需要に応じて、軽自動車またはバイク(125cc以上)で、荷物を運ぶ事業を指します。
一般的に軽貨物ドライバーとも呼ばれる業態で、軽自動車またはバイクで黒ナンバーを付けて荷物を運びます。
このほか、荷主から代金を頂くものの自社のトラックでは運ばずに、実運送業者を手配して目的地まで荷物を届ける「貨物利用運送事業」と呼ばれる事業もあり、この事業を行う場合も別途許可を受ける必要があります。
運送業許可は個人でも取得できる!
ここで本題に戻りますが、結論としては運送業許可自体は個人(個人事業主)でも取得ができます。
ただし、一般的に「運送事業」と聞いてイメージしやすい一般貨物自動車運送事業(緑ナンバーの大きなトラックで荷物を運ぶ)は、取得要件の中で開業時の人数や保有する車両の台数などが規定されているため、「車両1台・自分1人だけ」という状況では運送業許可を取ることはできません。
つまり、緑ナンバーの大きなトラックで荷物を運ぶような事業をする場合は、運送業許可の取得自体は個人/法人関係ありませんが、取得要件自体のハードルが少し高いので、車両や雇用する人材を事前に確保するなど、十分にポイントを押さえてから申請する必要があります。
運送業許可(緑ナンバー)を個人で取得する場合のポイント

ここまで運送事業の基本を解説してきましたが、運送業許可を取得するためには、その運送事業の業態に合わせて、必要となる要件を満たす必要があります。
例えば一般貨物自動車運送事業の場合は、ざっくり以下の要件を満たす必要があります。
それぞれの要件では、項目や数値単位で細かく規定が設けられており、個人/法人関係なくこれらの厳しい要件を1つずつクリアし、約半年の時間をかけて申請作業をこなしていく必要があります。
法人と個人で運送業許可の要件や取得までの流れに大きな違いはありませんが、事前に知っておくべきポイントがいくつかあるので、注意点とあわせて解説していきます。
なお、ここで紹介するのは数ある要件の中でも、個人(個人事業主)として運送業許可を取得する際に特に気をつけるべきポイントとなります。細かい取得要件は他にもいろいろありますので、以下の記事を参考にしてみてください。
【1】トラックは5台以上確保する必要がある
運送業許可の要件の1つに車両に関する要件があり、以下の要件を満たすトラックを確保する必要があります。
- 営業所ごとに車両を5台保有している
- 車両の大きさ、構造等が輸送する貨物に適切である
- 車両の使用権原を有している
つまり、開業時点で使用権原があるトラックを5台以上保有している必要があります。
(申請時は現物がなくても、契約を証明できる書類等があれば問題ありません。)
なお、霊きゅう運送/一般廃棄物運送/一般的に需要の少ないと認められる島しょ(離島)における事業の場合は1台でも問題ありません。
例外を除いて、大きなトラックで荷物を運ぶような運送事業を想定している場合は、個人(個人事業主)で始める場合でもトラックが5台以上必要となりますので、注意が必要です。
【2】人材は6人以上確保する必要がある
運送事業を始めるためには、安全な運行管理体制が構築できるよう相当数の人材を確保する必要があるため、「自分1人だけ」という状況では運送業許可を取得することはできません。
個人(個人事業主)として運送業許可を取得する場合は、人材の確保が大きなハードルとなります。
運送業許可取得の際に必要となる人材の内訳は以下の通りです。
- ドライバー:5人(車両1台につき1人)
- 運行管理者:1人(ドライバー以外に1人)
- 整備管理者:1人(ドライバー・運行管理者が兼任も可能)
ただし、整備管理者はドライバー/運行管理者と兼任ができるため、運送業許可を取得するためには
ドライバー5人+運行管理者1人=計6人
が最低でも必要となります。
つまり、申請者が個人(個人事業主)の場合には、自身がドライバー、運行管理者、整備管理者のいずれかであったとしても他に5名以上の人材を確保する必要があります。
特に整備管理者は以下のいずれかの要件を満たす人材である必要があります。
(1) 整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検若しくは整備又
整備管理者制度の概要(国土交通省)内3.整備管理者の資格要件- P.2
は整備の管理に関する2年以上の実務経験を有し、かつ、地方運輸局長が行
う研修を修了した者であること
(2) 一級、二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者であること
いずれかの要件を満たす人材がドライバー・運行管理者として見つからない場合は兼任できないため、別途「整備管理者」を人材として確保する必要があります。
【3】法令試験は自身で受ける必要がある

要件の1つとして、運送業許可を取得するためには法令試験に合格する必要があります。
個人(個人事業主)の場合は、申請者本人が法令試験に合格する必要があります。
なお、法人の場合は専任される役員の中のいずれか1名が合格すれば問題ないため、申請者が受験しなくても、役員の誰かが合格すれば問題ありません。
【4】多額の自己資金を用意する必要がある
運送業許可の取得要件の1つに「資金計画」の要件があり、あらかじめ資金計画を算出・立案し、それ以上の自己資金を保有している必要があります。
資金は運送業許可申請時や、法令試験後などに残高証明書を発行し提示する必要があるため、必要な資金は事前に調達し口座に預金しておく必要があります。
以下の記事で詳しい内訳を解説していますが、各項目ごとに6ヶ月分または12ヶ月分の資金を事前に調達しておく必要があり、初期費用として約1500万〜2000万円程度は必要となります。
なかなか個人事業主という立場では融資を受けるのが難しいものですが、行政書士でも相談に乗ってくれるケースがあります。With.行政書士法人では、運送業許可取得における融資の知見などもございます。以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】:運送業許可で融資を受けるにはどうしたらいい?融資を受けるメリット・審査の注意点などを解説!
個人で運送業許可を取得する負担を少しでも減らすには?

個人(個人事業主)として運送業許可の取得を目指す場合は、少しでも負担を減らすためにも行政書士の利用がおすすめです。
個人で運送業許可を取得する際に行政書士を利用するメリット
・運送業許可取得までがスムーズに進む
・プロに相談しながら申請を進められる
・個人/法人どちらで開業すべきか相談ができる
運送業許可の取得は、取得要件の確認や必要となる各種書類の手配・準備が多く、膨大な時間と労力、コストがかかりますが、プロである行政書士を利用することで、効率的にスムーズな準備が進められるようになります。
また、個人で運送業許可を取得する場合は法人設立の費用がかからないメリットがありますが、法人として取得する場合には以下のようなメリットもあります。
- 対外的な信用度が上がる(仕事や人材を獲得しやすくなる)
- 節税の選択肢が多い
- 赤字の繰越期間が長い
「運送業許可の取得費用」だけでなく、申請者の事業プランや将来性などを見据えてプロに相談ができる点でも、積極的に行政書士を利用するのがおすすめです。
個人での運送業許可取得に関するご相談は、実績豊富なWith.行政書士法人へ

個人での運送業許可取得まとめ
・運送業許可自体は個人(個人事業主)でも取得ができる
・ただし、要件の関係で「車両1台・自分1人だけ」という状況では取得ができない
・車両5台、最低6人以上の人材を確保する必要がある
・法令試験の合格や約2000万円前後の自己資金を確保する必要がある
・個人で運送業許可の取得を目指すなら、プロである行政書士を利用するのがよい
この記事では、「個人で運送業許可を取って運送事業を始めたい」という方のために、運送事業の基本や運送業許可の要件を解説しました。
運送業許可自体は個人(個人事業主)でも取得ができますが、取得要件の中で開業時の人数や保有する車両の台数などが規定されているため、「車両1台・自分1人だけ」という状況では運送業許可を取ることはできません。
この記事を読んでみて、「個人で運送事業を始めたいけれど、難しそうだな…」と感じている方は、諦めずにぜひ弊社へご相談ください。
弊社では東北地方を中心に運送業許可に関する実績が豊富です。
- 運送業許可の取得要件が複雑で、ちゃんと事業を始められるか不安…
- 申請に必要な書類が多すぎて不備がないか心配…
- 運送事業を1人で始めたいのでサポートして欲しい
- 法令試験や自己資金の確保について相談したい…
個人(個人事業主)としての運送事業の開業に少しでも不安や悩みを感じる方は、お気軽にご相談ください。要件クリアに向けた各種相談はもちろん、事業開始後まで手厚くサポートいたします。
運送業許可の取得にかかる時間、労力を最大限軽減できるよう私たちがサポートいたしますので、簡単なご相談からでもまずはお気軽にご相談ください。
