「貨物軽自動車運送事業を始めたいけれど始め方がわからない」
「そもそも、貨物軽自動車運送事業ってなに?」
「軽貨物ドライバーになるために必要な許可は?」
運送業の種類の1つである「貨物軽自動車運送事業(軽貨物ドライバー)」は、他人(荷主)の需要に応じて、有償で軽自動車またはバイクで荷物を運ぶ事業のことです。
街中で黒ナンバーの軽自動車で荷物を配達しているドライバーを見かけることがありますが、このような運送事業を始めるには、必要な要件を満たした上で届出を提出してから、黒ナンバーを取得して事業を始める必要があります。
この記事では、運送業に関する実績が豊富なWith.行政書士法人が、貨物利用運送事業の概要や、開業に必要な届出などをわかりやすく解説していきます。
貨物軽自動車運送事業の事業内容や、クリアが必要な要件なども丁寧に解説していますので、これから軽貨物ドライバーとして開業を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
貨物軽自動車運送事業とは?

「そもそも貨物軽自動車運送事業ってなに?」という方のために、貨物軽自動車運送事業について解説していきます。
貨物軽自動車運送事業とは
貨物軽自動車運送事業とは?
運送業の種類の1つである「貨物軽自動車運送事業」は、他人(荷主)の需要に応じて、有償で自動車(三輪以上の軽自動車、二輪車)を使用して荷物を運送する事業のことです。
分かりやすく説明すると、「荷主から代金(またはそれに相当するもの)を頂いて、軽自動車またはバイク(125cc以上)で、荷物を運ぶ」という事業です。
このような事業を軽貨物ドライバーとして行う場合は、貨物軽自動車運送事業の届出を提出し、黒ナンバーを取得する必要があります。
「軽貨物ドライバー」とも呼ばれる貨物軽自動車運送事業は、近年Amazonや楽天市場をはじめとするEC事業の普及・拡大に伴い小型荷物の宅配需要が増えていることから、今後も需要や将来性が見込まれる事業だといえます。
軽自動車かバイクさえ用意できれば、低資金でも個人事業主として事業を始められるため、比較的手軽に参入できる点もポイントです。
一般の運送業との違いは?

「運送事業」と聞いてイメージしやすい、一般の運送業(一般貨物自動車運送事業)とは、「トラックを使うかどうか」「ナンバーの色」「許可制かどうか」などが異なります。
【貨物軽自動車運送事業】
黒ナンバーの軽自動車またはバイクで、荷物を運ぶ(届出制)
【一般貨物自動車運送事業】
緑ナンバーのトラックで、荷物を運ぶ(許可制)
トラックで荷物を運ぶ一般貨物自動車運送事業では中型以上の緑ナンバーのトラックで荷物を運送するのに対して、貨物軽自動車運送事業では黒ナンバーの軽自動車で荷物を運びます。
そのため、「個人事業主として軽貨物ドライバーを始めたい」と思ったら、必ず事業に関する届出を行ったうえで黒ナンバーを取得する必要があります。
また一般の運送業は許可制ですが、貨物軽自動車運送事業では必要な要件を満たした上で届出を提出すれば、数日程度で事業を始めることができます。
貨物軽自動車運送事業を始めるための要件

貨物軽自動車運送事業を始めるためには、「貨物自動車運送事業法」で定められている要件を満たしたうえで、貨物軽自動車運送事業の届出を提出する必要があります。
貨物軽自動車運送事業を始めるためには、ざっくり以下の要件を満たす必要があります。
要件の中には少し複雑な規定や慎重な確認が求められる箇所もあるため、見落としや申請ミスなどが発生しないよう、必要に応じて行政書士と相談しながら進めましょう。
各要件の具体的な内容は以下の通りです。
1.「営業所・休憩施設」の要件
営業所については、以下の要件さえ満たしていれば、特段注意が必要な規定はありません。
- 営業所が入る建物の使用権原を有している
個人事業主の場合は、自宅や事務所を営業所とすることも可能です。
「広さ」「間取り」などには細かい規定はなく、問題なく業務が行えるスペースを確保できれば問題ありません。
また、乗務員が休息を取ることができる施設を「休憩施設」として用意する必要がありますが、こちらも自宅や事務所を休憩施設とすることができます。
2.「車庫」の要件
貨物軽自動車運送事業を運営するうえで必要となる車庫は、以下の要件を満たす物件を確保する必要があります。
- 計画車両すべてを収容できる
(1車両あたり8㎡以上が目安) - 原則として営業所に併設されている
(併設できない場合は、営業所からの距離が2kmを超えない) - 車庫が入る建物の使用権原を有している
- 車庫の立地が都市計画法など関係する法令に抵触していない
車庫には事業で使用する台数分の車両を問題なく収容できる必要があり、広さの目安は1車両あたり8㎡以上となります。
また、車庫は原則営業所に併設されている必要があり、自宅などに充分な敷地がある場合にはそのまま申請することができます。併設されていない場合は、直線距離にして2kmを超えない範囲内で車庫を別途確保する必要があります。
なお、都市計画法で以下の区域に指定されている地域では車庫を設置できません。
・市街化調整区域
・第一種、第二種低層住居専用地域
・第一種、第二種中高層住居専用地域
特に都市計画法に抵触していないかどうかの確認は、法令や自治体の専門部署との確認が必要となるため、自身での確認・手配が難しい場合は行政書士と連携しながら進めましょう。
3.「車両」の要件

貨物軽自動車運送事業を始める際には、以下の要件を満たす車両を用意する必要があります。
- 軽トラック、軽バン、軽自動車、バイク
- バイクの場合は排気量が125cc以上
- 自動車の両側面に氏名または名称を掲示できる
車両は中古車でも問題なく、台数は1台から申請ができるため、事業用に複数台用意する必要はありません。
また、以前は貨物軽自動車運送事業で使用できる車両は、軽トラックや軽バンなどの「軽貨物車」に限定されていましたが、令和4年(2022年)10月27日以降から「軽乗用車」も解禁されています。

そのため、以前は車検証の用途が「貨物」の場合に限り申請が認められていましたが、軽乗用車の用途が「乗用」のままでも届出を行うことができます。
軽乗用車を使用する場合の注意点としては、軽トラックや軽バンなどの「軽貨物車」と比較して最大積載量が少なくなる点に注意が必要です。
【軽乗用車の最大積載量】
・乗車定員数から乗車人数を引いた数に55kgをかけた重量以内
【軽貨物車(軽トラック、軽バンなど)の最大積載量】
・最大350kg(軽バンの場合は車種による)
つまり、乗車定員が4名の軽乗用車を使用する場合の最大積載量は、
(乗車定員(4)-乗車人数(1))×55㎏=165kg
となり、軽貨物車を使用する場合に比べて一度に積載できる貨物量が少なくなります。
一度に少しでも多く貨物を積み、効率的に運送したい場合は、軽トラックや軽バンなどの軽貨物車を事業用に導入するのがよいでしょう。
【参考】:貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用について(国土交通省)‐P.3
貨物軽自動車運送事業を始めるまでの流れ

1.必要な書類


貨物軽自動車運送事業を始める場合、必要な要件を満たした上で営業所を管轄する運輸支局へ届出を提出し、軽自動車検査協会で黒ナンバーを取得する必要があります。
黒ナンバーを取得するまでに必要となる書類は以下の通りです。
1.貨物軽自動車運送事業経営届出書
(営業開始日、代表者の情報、営業所の所在地、軽貨物車両の情報等について記載)
2.貨物軽自動車運送事業運賃設定届出書
(運賃料金の種類や適用方法などをまとめて記載)
3.運賃料金表
4.事業用自動車等連絡書(運輸局でもらう)
(事業で使用する車両の使用者や車両に関する情報を記載)
5.車検証のコピー
そのほか、各種証明書等で添付が必要だと考えられる書類がある場合には、必要に応じて持参するようにしましょう。
2.届出・黒ナンバー取得までの流れ

貨物軽自動車運送事業の届出を提出し、黒ナンバーを取得するまでの流れは以下の通りです。
貨物軽自動車運送事業を始めるまでの流れ
1.営業所・車庫を用意する
2.事業で使用する車両を用意する
3.貨物軽自動車運送事業の要件をすべて満たしているか確認する
4.申請の準備(添付資料・各種情報収集)
5.営業所を管轄する運輸支局へ運送事業経営届出書を提出する
6.運輸支局で事業用自動車等連絡書を受け取る
7.軽自動車検査協会へ必要書類を提出する
8.軽自動車検査協会で黒ナンバーを取得する
9.貨物軽自動車運送事業の開始
「貨物軽自動車運送事業経営届出書」を準備できたら、営業所を管轄する運輸支局へ提出します。
不備がない場合はおおよそ1〜2日で受理されるため、運輸支局で受け取った「事業用自動車等連絡書」「車検証(原本)」を軽自動車検査協会へ持参し、黒ナンバーを取得する流れとなります。
一般の運送業(一般貨物自動車運送事業)と比較すると必要書類が少なく短時間で事業を始められますが、届出作成時にミスや相違点などがあると、申請要件の確認を始めからやり直す必要があります。
特に、「車庫」に関する要件はやや複雑なため、見落としや申請ミスなどが発生しないよう、必要に応じて行政書士と相談しながら進めましょう。
3.黒ナンバー取得までに必要となる費用

貨物軽自動車運送事業の届出にあたって申請手数料は不要ですが、黒ナンバー取得時に¥1,500程度のナンバープレート代がかかります。
また、個人事業主の場合は事業で発生する
- ガソリン代
- 車の維持費用、メンテナンス費用
- 自賠責保険、任意保険
- その他各種保険
などの経費を自費で負担する必要があります。
なお、一般の運送業(一般貨物自動車運送事業)では登録免許税の納付が必要ですが、貨物軽自動車運送事業の場合では不要です。
貨物軽自動車運送事業に関するご相談は、実績豊富なWith.行政書士法人へ

貨物軽自動車運送事業まとめ
・貨物軽自動車運送事業とは、荷主から代金を頂き、軽自動車またはバイク(125cc以上)で荷物を運ぶ事業
・事業を始めるには届出を行ったうえで黒ナンバーを取得する必要がある
・貨物軽自動車運送事業を始めるには「営業所・休憩施設」「車庫」「車両」の要件がある
この記事では、「これから軽貨物ドライバーとして貨物軽自動車運送事業を始めたい」という方のために、基本知識を解説しました。
貨物軽自動車運送事業は軽自動車かバイクさえ用意できれば、低資金でも個人事業主として始められるため、一般の運送業(一般貨物自動車運送事業)と比較しても手軽に参入できるのがポイントです。
弊社では東北地方を中心に運送業許可に関する実績が豊富です。
- ちゃんと貨物軽自動車運送事業(軽貨物ドライバー)を始められるか不安…
- 許可要件を満たせているか分からない…
- 申請に必要な書類が多すぎて不備がないか心配…
- 貨物軽自動車運送事業の届出を代行して欲しい
貨物軽自動車運送事業の開業に少しでも不安や悩みを感じる方は、お気軽にご相談ください。要件クリアに向けた各種相談はもちろん、許可取得後まで手厚くサポートいたします。
届出に関わる労力を最大限軽減できるよう私たちがサポートいたしますので、簡単なご相談からでもまずはお気軽にご相談ください。
