
はじめに
改正行政書士法が令和7年6月13日に公布され、令和8年1月1日より施行されます。
法施行が近づいてきたこのタイミングで、あらためて法改正の内容について理解を深めていただくため、現段階でわかっている改正の要旨について解説いたします。
正しく認識し、正しく対策していきましょう。
行政書士法改正の要旨
⑴「業務の制限規定の趣旨の明確化」
行政書士でない者による業務制限規定(第19条1項)に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の文言が加えられ、その趣旨を明確化します。
⑵「両罰規定の整備」
行政書士または行政書士法人でない者による業務制限の違反(第21条の2)、名称の使用制限違反(第22条の4)等について、その違反行為者を罰するほか、その法人または使用者に対しても各罰金刑を科すこととなる。
上記の他、行政書士の「使命」「職責」「特定行政書士の業務拡大」などの変更がありましたが、自動車販売店様にはあまり影響がないことから、ここでは割愛させていただきます。
日本行政書士会会長の声明によると、コロナ禍において行政書士でない者が給付金等の代理申請を行い、多額を報酬を受け取った事例が散見されたことを受け、いかなる名目であっても対価を受領し、官公署に提出する書類等を作成することが行政書士法違反になることを、より明確化する必要性あるとの趣旨で法改正に至ったということです。
日本行政書士会としては、これらの改正趣旨を踏まえ、行政書士又は行政書士法人でない者による違反事案に対して、関係機関とも連携のうえ厳正に対処していくと発信がありました。
自動車販売店における影響
■ 業務制限規制の厳格化の可能性
自動車販売店(新車、中古車)における、車庫証明、自動車登録業務について、他人の依頼により報酬を受けて書類を作成する行為について、業務制限が明確化されることにより、第三者(行政書士会含む)からのコンプライアンス順守に対する目が厳しいものとなる可能性があります。
※もともとの法の趣旨自体には変更ないが、代行料、手続き費用、書類作成料、コンサル料など、請求名目にかかわらず、行政手続きに関する書類作成にかかるものと判断できるものについては、業務制限の対象になることを明示する形となったため。
制度のチェックポイント
☑車庫証明、自動車登録書類等の行政手続きに関する書類作成は行政書士業務
☑書類の作成は行政書士業務だが、作成された書類の役所への提出(意思判断等のない、単なる使者としての提出行為)は制限対象ではない。※ただし、追記・補正などの対応はできない
おこなうべき対策
・自社で車庫証明、自動車登録業務を行う際は、無報酬で対応する。
・行政書類作成(登録書類、車庫証明等)は原則行政書士へ外注する。
弊社見解について
宮城県行政書士会にヒアリングした上で、弊社では以下の見解を持っています。
| ①自動車販売店が自ら車庫証明、自動車登録を有償で行っている | 行政書士法違反 |
| ②自動車販売店が自ら車庫証明、自動車登録を行い、行政書士費用として請求している | 詐欺罪となる可能性あり |
| ③自動車販売店が行政書士へ車庫証明、自動車登録を依頼した上で、手続き料にマージンを乗せて請求している | 現状明確な線引きなし。比較的関東圏では厳しく(手続きに用に手数料等のマージンを乗せることは不可)捉えているケースが見受けられる |
| ④自動車販売店が行政書士へ車庫証明、自動車登録を依頼した上で、立替金としてそのままの金額を請求する | 違法性なし |
これまでの商習慣や、しかるべきところからヒアリングした見解から鑑みて、弊社は③④は問題とならないと判断しております。
現状ですと、問題にならないと言い切れるのは上記のうち④のみです。
特に問題となるのは①②であり、直接的に書類作成をしていなくても、作成のほとんどを指導しているようなケースでも業法違反になる可能性があります。
両罰規定があるため、会社として以外に、営業個人の方がこのような行為をしないよう気を付けましょう。
上記③については、法の解釈やガイドラインが示されていないため、今後中止していく必要があるでしょう。今後、情報が入手できましたら、顧問先を中心に情報共有してまいります。
